MENU

売った覚えはない。でも、なぜか2口契約──銀行員の“本気”が伝わった日

銀行では、投資信託や保険、外貨預金など、さまざまな運用商品の取り扱いがあります。

「長期で育てましょう」「分散が大切です」──
そんな言葉を日々お客様に伝えている銀行員も多いと思います。

けれど実際に、自分の資産を使って運用している人は、どれくらいいるのでしょうか。

「iDeCoには入っているけれど、それ以外は何もやっていません」
「株も投信も、正直怖くて手を出せません」

たしかに、FXは社内ルールで禁止されています。仮想通貨も扱えないでしょう。

でも、外貨預金や個人年金保険、株式──本気でやろうと思えば、自分でもできる商品はあるのです。

それでも動かない。
正確には、**「制度は語れても、経験が語れない」**というのが、現場の多くの声ではないでしょうか。

いま目の前にあるのは、トランプ再登場のような読めない相場
ならばせめて、iDeCoのスイッチングくらいは自分の判断で語れるようになってほしい──そう思うことがあります。

制度を知っていることと、自分で動いた経験は違います。
語る言葉に厚みを持たせるには、自分のお金で一度でも「判断」してみることが大切なのだと思います。


目次

20年前のある夏、私は「買いに行った」

20年近く前のことです。
当時、銀行員だった私は、ある夏に外貨建ての個人年金保険を本気で買おうとしていました。

理由は、娘の将来のためです。
自分が提案していた商品を、今度は“お客様”として自らのために選んでいたのです。

しかし、勤務先ではルール上、自社商品の購入ができませんでした。
そこで私は、夏休みを利用して、他行の窓口に足を運んだのです。

当時の為替は1ドル=115円程度。
特別に割安な水準ではありませんでしたが、予定利率は4%超え。
10年複利で見れば、損益分岐点は70円台。自分の中では「迷いのない買い物」でした。


窓口で語った言葉は“営業トーク”ではなかった

窓口で応対してくれたのは、同年代の女性行員でした。
私は契約者であるにも関わらず、なぜか商品について熱く語ってしまったのです。

「為替リスクはあるけれど、長期で分散すれば大丈夫」
「この金利なら、10年後にしっかり備えが作れる」
「娘の教育費を考えると、今しかない」

そんなふうに、私はまるで営業担当のように、一つひとつのポイントを丁寧に伝えました。
営業トークではなく、自分の“実感”として。


数日後、彼女が現れた

数日後、その女性が私の支店を訪ねてきたのです。
驚いたことに、彼女は自分の子どもたちのために、2口の申込をしたいと伝えてくれました。

ん~リアル倍返し。

“売った”のではなく、“伝わった”。
このとき初めて、**「本気で語れば、人は動く」**ということを知った気がしました。


父も、同じ商品を──

さらに話には続きがあります。
満期が近づいたある日、父にこのことを話すと、こんな返事が返ってきました。

「あの保険、私もあの年にメガバンクで買ってたよ」

まさかの同時購入。私は思わずこうつぶやきました。

「それなら、息子から買ってよ……」


売らなくていい。伝わればいい。

この経験を通して私は学びました。
無理に売らなくても、本気で選んだ商品なら、自然と伝わる。

制度を語るだけでは足りません。
自分が信じて、経験した商品を語ること。
それが、営業の信頼を育て、キャリアの財産になっていくのだと思います。

今の私は、人に商品を売る立場ではありません。
それでも、仮想通貨や海外株式など、さまざまな運用に日々触れながら、自分なりに学び続けています。

あの日、自分が本気で選んだ商品を語ったように、これからも“実感から生まれる言葉”を大切にしていきたいと思っています。を大切にしていきたいと思っています。

あわせて読みたい
動かないという選択──休めるのは、個人の特権です 動かないという選択──休めるのは、個人の特権です 営業の現場では、「今がチャンスです」「相場が動いています」と、つねに動くことが正しいように語られます。 しかし...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ginkariのアバター ginkari MANAGING DIRECTOR

銀キャリ /

こんにちは、銀キャリへようこそ!
私は、銀行業界で約20年経験を持つ現役の経営者です。これまで、法人営業や資産運用アドバイザーとして働き、多くの企業や個人の財務面をサポートしてきました。

現在は**「銀キャリ」というブログを運営しており、主に銀行員のキャリアアップや転職に関する情報を発信しています。
私自身、銀行員から経営者に転身した経験があり、まだ経営者としては3年**を過ぎたばかりの新米ですが、この経験を通じて読者の皆様にお伝えできることが多いと感じています。

ブログの目的は、銀行員のキャリアを見直すこと。
ファイナンシャルプランニングの専門知識を活かして、キャリアに役立つ情報や投資に関するアドバイスも提供しています。

このブログが、皆様のキャリアをより豊かにするためのヒントやアドバイスの源になることを願っています。

リアルとフィクションを9:1の割合で混ぜて発信。
出典があるもの以外は“読んで楽しむ用”です。
信じるかどうかは、あなたのキャリア観次第。

コメント

コメントする

目次