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崩せない壁と言われる源泉税「還付率100%」を勝ち取った、日本人経営者の裏側 ― たった0.2%で3%を取り戻した“実務戦”の記録

タイで事業をされている日本企業の皆さまなら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

「WHT(源泉税)の還付は不可能です」
「5年過ぎたものは放棄しかありません」
「税務署は厳しいので会計事務所もやりたがりません」

しかし、こうした“常識”は半分本当で、半分は誤解です。私は2023年、誰にも理解されなかった方法を“ダメ元”で実行し、還付率100%という、一般的にはあり得ない結果を得ました。

必要だったコストはわずか0.2%(2/1000)
戻ってきた金額は3%
リターンは15倍です。

この記事では、タイの源泉税(WHT)に悩む企業に向けて、私が実際に100%還付を得たプロセスと、地方税務署との実務的なやり取りを、現場視点で丁寧に公開します。

目次

第1章:5年で消える源泉税──タイWHTの構造的な壁

タイでサービスを提供する企業は、請求額の3%が源泉徴収されます。97%が入金され、3%は税務署に直接納税されます。

この「3%」は正しく申告すれば還付・控除できますが、実務ではそう簡単にはいきません。

毎年の監査時には、ほぼ必ずと言っていいほど会計事務所からこう言われてきました。

「このWHTは5年経過しているので還付はできません。放棄のサインをお願いします。」

ローカル企業との取引が多い会社ほどWHTが積み上がり続け、キャッシュフローが削られていく構造的問題に直面します。

第2章:2023年、地方税務署の担当官が漏らした“たった一言”

2023年、経理担当者と地方税務署の職員との打ち合わせ中に、担当官が突然こう言いました。

「サービスのPOに、金額の2/1000の印紙を貼ってください」

0.2%の印紙税で、3%のWHTが戻るのか。数字だけでは説明ができません。

しかし担当官は続けました。
「印紙税を納めてくださる会社は、こちらとしても扱いやすいんです」

この瞬間、私は“税務署の思想”を理解しました。

第3章:税務署には「歳入と歳出のバランス」が存在する

税務署の内部ロジックは明確です。

  • 印紙税 → 歳入(入ってくるお金)
  • WHT還付 → 歳出(出ていくお金)

つまり、「歳出だけ求める会社」より「歳入も落とす会社」が扱いやすいのです。

弊社はバンコクではなく地方都市にあり、税務署と顔の見える関係を築いてきました。
そのため、印紙税を貼る行為が「誠実な会社」としての評価につながったのです。

第4章:会計コンサルは否定。「調査に入られますよ」と警告された

外部の会計コンサル会社に相談したところ、強く反対されました。

「印紙を貼るのは構いませんが、税務調査に入られますよ」
「逆に追徴されるケースもあります」
「成功しても7割が限界です。100%は無理です」

しかし私は思いました。

「この人たちは悪くない。ただ“言い切るリスクを負えない”だけだ」

コンサルの立場では、保証できない施策は勧められません。

しかし私はこれまで違う角度から税務署の動きを見てきました。

第5章:父の税理士としての言葉、税務署での経験、銀行で見た“税務ドラマ”

■ 実家が会計事務所

父は長年税理士として、祖父は公認会計士として働き、私は幼い頃から税務相談の現場を見て育ちました。父はよくこう言いました。

「絶対に大丈夫でも、税務署は3カ所に聞け」
「金額が大きい案件ほど、保証できないから勧められない」

■ 学生時代、税務署でアルバイト

窓口や電話対応を通して、税務が“法律より運用で動く”ことを肌で感じました。

■ 銀行員として20年、税務の攻防を見続けた

課税する側・される側・その間に立つ銀行——その三者のやり取りを見続けた経験が、私の判断の土台になっています。

第6章:放棄をやめたら、本当に税務署が“飛んできた”

印紙を貼り始めた2023年、税務署は予告どおりすぐに来ました。

しかし書類を説明すると、担当官は落ち着いた口調でこう言いました。

「問題ありません。ありがとうございます。」

私はこの瞬間、確信しました。

「これは、おそらくいける」

第7章:そして2年以上がたった先日、“満額還付”が実現しました

取り組み開始から2年以上がたったある日、経理担当者が静かに言いました。

「いいお話があります。2023年度の源泉税が戻りましたよ」

胸がふっと軽くなり、私は尋ねました。

「どれくらい戻ったの?」

担当者は息を整えて答えました。

「……100%です」

振込通知を確認すると、2023年度のPND50に記載された源泉税額と振込額が一致していました。

コンサルから「成功しても7割が限界」と言われていた取り組みが、静かに、しかし確実に満額還付として実を結んだ瞬間でした。

第8章:すべての企業に当てはまるわけではありません。しかし——

今回の結果は、すべての企業で再現できるわけではありません。

しかし、以下の条件が揃えば“扉が開く可能性”があります。

  • 地方税務署との継続的な対話
  • 誠実で透明性の高い帳簿
  • 印紙税による歳入への貢献
  • 放棄しない姿勢
  • 逃げない会社であること

私は強く感じています。

「海外事業は、法律も大事だが“思想と関係性”で動く部分が大きい」

最終章:日本人経営者が海外で勝つためのヒント

海外の行政や税務は、日本以上に人間的・実務的なロジックで動きます。

0.2%という小さな印紙。

しかし、その行動が
「この会社は誠実です」

というサインとなり、長年崩せなかった源泉税3%の壁を突破しました。

税務署との関係は対立ではなく、対話です。

法律は変わらなくても、解釈と運用は常に変化します。

誠実さと継続性を重ねることで、今回のような結果が生まれると実感しました。

この経験が、どなたかの判断の参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

タイ移住の、暮らしとお金のバランス。

元銀行員 × FP1級 × タイ現役会社役員。

バンコクの便利さも、地方の穏やかさも知る立場から──
「数字」だけでなく、「心の余白」まで設計する。
海外移住を“夢”で終わらせないための、現実と知恵を。
銀キャリ|GinKari
Work & Life Bridge Japan × Thailand

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