2025年10月、タイBOI(投資委員会)が外国人雇用制度を改正。
外国人役員の最低給与を月額15万バーツ(約70万円)と明示しました。
※1THB=約4.6〜4.7円換算(2025年10月時点)
これまでBOI企業で働く外国人の給与は「職務に応じて妥当であれば可」という曖昧な基準でした。
日本人の場合は最低ラインとして5万バーツを守れば、あとは「職務に応じて」と柔軟に運用されてきました。
しかし今回、役員・管理職・技術職の三段階で下限が明確化され、税務申告(PND1)や社会保険データとの整合性が厳しく問われます。
形式上の昇給や名義貸しでは通用しない時代が始まりました。
影響を受けるのは「これから」だけではない
新制度は2025年10月から新規認可企業に即適用。
しかし本質的に重要なのは、既にBOI証書を持つ企業にも2026年1月以降、段階的に適用されるという点です。
つまり、これまで安全圏にいた企業も来年から審査対象になります。
現行給与が15万バーツは未満の日本人役員は、次回の労働許可証(Work Permit)更新時に基準未達として差し戻されるリスクが現実味を帯びてきました。
名目上の手当ではなく、実際に課税対象として支払われていることが求められます。
強行施行された場合、本社側の動きは三つに分かれる?
- 給与を上げる(タイ側で基準を満たす)
コンプライアンス上は安全ですが、人件費負担が重く、中小企業ほど打撃。 - 日本側を下げる(総報酬を平準化)
本社負担を抑えられる一方で、本人の手取りは減少。 - 駐在員を減らす(現地化を進める)
コストは抑えられるが、技術移転や品質維持に課題が残る。
特に中小製造業では①を選ぶ体力が乏しく、一部ではすでに③のタイ人マネージャーを中心に運営、日本人は“サポート役”として定期出張・オンライン支援・顧客対応などに切り替わる話を耳にします。
大手は実質クリア、中小が直撃
大企業では、社宅・車両・福利厚生を含めた総報酬で15万バーツを上回るケースが多く、今回の基準を実務上クリアしていると考えられます。
一方で、中堅・中小企業では昇給によるキャッシュアウトが直撃し、「人を置けないから事業を止める」という判断も現実的になっています。
制度の目的は、タイが“安い国”から脱却し、生産性と報酬が連動する高付加価値型産業へ移行すること。
しかし現場から見れば、理想ではなく「強制アップデート」です。
2026年の更新を前に、企業体力が試される1年になるでしょう。
銀キャリまとめ
BOI新制度は、タイにとっては「成熟への挑戦」、
日本企業にとっては「構造転換の試練」。給与が上がるのか、日本側が下がるのか。
駐在員が減るのか。それとも、いつものように大きな花火をぶち上げて、何事もなかった様にスルーするのか?
答えが出るのは来年。銀キャリは、この更新時期の動きを追いたい。
実際の運用と当局判断に、注目したい。
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銀キャリ(ぎんキャリ)
タイ・ASEANにおける製造業、駐在、労務のリアルを現場視点で分析。
