はじめに
自己紹介が整ったら、次は**「職務経歴書」**です。
でも、こう感じたことはありませんか?
「銀行でやってきたことを、そのまま書いていいの?」
「“誰にでも伝わる”ように書けてる気がしない…」
銀行員の業務は専門的で複雑なため、職務経歴書が抽象的か、逆に専門用語まみれになるケースが非常に多い。
でも、大丈夫です。
ポイントを押さえれば、銀行の仕事もちゃんと“伝わる強み”に変わります。
今回は、「職務経歴書の土台」になる骨組みテンプレートをお渡しします。

よくある失敗パターン
❌ 「預かり資産を担当」だけで終わっている
❌ 「業務に従事」と書かれていて、何をしたか伝わらない
❌ 抽象的すぎて成果がぼやけている
❌ 銀行用語を使いすぎて他業界に伝わらない
目指すのは「誰が読んでも価値が伝わる文章」
- 業務経験(何をやってきたか)
- 工夫・成果(どうやったか、どう貢献したか)
- 翻訳(社外の人が理解できる言葉への変換)
この3つを意識するだけで、文章の伝わり方が激変します。
基本構成テンプレート
以下の5パートで構成しましょう。
いきなりばらしますが、①と②と③の前半以外について、全くのウソはだめですが、数字を変えてもバレません。
④も⑤も、突っ込まる前提で答えを準備しておくだけです。ストーリーが大切。
心配不要、面接時間はそんなに長くないです。
セクション | 内容例 |
---|---|
① 期間・所属 | 20XX年4月〜20XX年3月 ○○銀行 ○○支店 法人営業課 |
② 担当業務 | 法人顧客向けの融資提案、財務分析、経営支援など |
③ 業務内容詳細 | ○○業種の中小企業を中心に月40件訪問し、新規開拓や与信提案を実施 |
④ 実績・成果 | 3年連続で融資目標120%達成。経営改善提案により○社が黒字化達成 |
⑤ 工夫・姿勢 | 経営者の悩みに応じた仮説提案を重視。事業承継や財務改善の提案が評価される |
実例テンプレ(法人営業担当の場合)
【期間・所属】
2014年4月〜2021年3月 ○○銀行 △△支店 法人営業課【担当業務】
中小企業向けの融資業務、経営改善支援、財務分析、新規開拓【業務内容詳細】
地場企業を中心に月40件以上の訪問活動を実施。与信判断や資金繰り支援の提案を行い、営業推進に貢献。【実績・成果】
3期連続で与信目標を120%以上で達成。特に事業承継・財務健全化に関する提案で表彰を複数回受賞。【工夫・姿勢】
単なる商品説明にとどまらず、経営者の将来不安を可視化し、課題に合わせた仮説提案型営業を継続。
何も大したことを書いていません。数字をそれらしく取り繕うだけです。
ここでは、内容よりストーリーがあるか?繋がってたらOKです。
コツ①:「成果」は数字と変化で書く
先にお伝えしますが、ポイントは、本当っぽくて、そうなんだと思えたら合格です。
以下が本当かどうかなんて、答え合わせなんてしません。
- 「120%達成」「10件の新規融資」「3年間連続で表彰」
- 「黒字転換」「経費20%削減」など、変化が分かる表現が◎
コツ②:「翻訳力」があなたの差別化ポイント
これは大切。専門用語禁止令を出します。
「渉外」「与信」「預かり資産」──
この言葉たちは、銀行の外ではそのまま伝わりません。
たとえば:
銀行用語 | 言い換え例 |
---|---|
渉外 | 営業訪問/取引開拓/リレーション営業 |
与信判断 | 財務評価/融資判断/資金調達支援 |
預かり資産営業 | 資産形成コンサルティング/運用提案 |
これはよくある、ケース。
例えば電気屋さんで感じたことないですか?
これとこれ、どっちがお勧めですか?としか聞いてないとき。
その程度も判らないお客さんに、専門用語で熱弁・・・。
ここは注意、「この人なにを言ってるんだろう?」→気に入らない。
は、残念な結果しかありません。
面談相手はお客様。絶対に勝ってはいけません。
コツ③:「1社で何をしたか」に絞ると説得力が出る
1件だけでいいので、自分が深く関わった顧客とのエピソードを書いてみましょう。
- どんな課題があったか
- どんな提案をしたか
- どう変化したか
その1社のストーリーが、“あなたらしさ”を一番伝えてくれます。
ここが一番大事です。
これまでは、まともな人?コミュニケーションが出来る人?が図られました。
もしアイスブレイクが出来てたら?
このエピソードが前振りと一致してたら?
これが濡らしです。
顔色を見て、いけそうなら口説き倒しましょう=がっつり熱弁するならここです。
ここまでは、待ちましょう。
押し倒したらダメです。もう少し待ちましょう。
そして、チャンスが来ない時があることも理解しましょう。

コツ④:「管理職の実績」は“行動レベル”で表現する
「課長として部下をマネジメント」は、実は一番伝わらない表現です。
読み手に伝えるには、何を仕組み化したか・どう数字を伸ばしたかを、具体的に言語化する必要があります。
ただ、これもコツ①と同じです。誇張してもバレません。
ここで相手を信用させることが出来たなら、気に入られている証拠です。
採用とは別です。
中小企業はフィーリング、大手はチェックリスト。
どちらも、ポイントを押さえて、恋心を生ませたら勝ちです。
お見合いと同じ。
学歴や資格=お家柄や、見た目=見た目、で落ちたら諦めましょう。
【実例:渉外課長のマネジメント】
渉外課の課長として、部下の営業行動と案件管理の見直しを実施。
週報のフォーマットを作り直し、「①先週の訪問履歴・②今週の訪問予定・③先週のトピックス」の3軸提出を徹底。
①行動量と③成果の整合性を確認し、②予定には案件獲得までのストーリーを求め、ネタはA/B/Cに分類し、レベルに合わせて管理・指導方針は個別対応。
この仕組みにより、支店全体の開拓力が強化され、半年で新規融資件数が1.5倍に伸長。支店表彰を受ける原動力となった。
この文章、いいたことわかります?
私は仕組みを作って結果を出した人間です。以上!!
内容なんて誰も興味ないです。だって結果がでた(らしい)んだから。
おわりに
「職務経歴書」は、あなたのキャリアを“翻訳”する場です。
銀行の中では伝わっていた価値も、外に出すには「言葉を変える」必要があります。
でも、形さえ整えば、あなたの経験は誰よりも頼れる証拠になります。
私は支店長を経験していません。
でも、経歴の伝え方は課長も支店長も、就活中の大学生も同じです。「目標達成のために、何をして(動詞)、どうなったか(結果)」
面接に多くの時間はありません。
最高のエピソードをその場の思いつきで語るのはリスクが高すぎます。
自分を伝えることは、プロポーズと同じ。
一番大事な言葉こそ、フィクションでもいい、ちゃんと用意しておくべきです。
次回予告
次回は、これまでの棚卸し・言語化・自己紹介・職務経歴書をベースに、
**「キャリアの軸と方向性をどう決めるか」**というテーマでお送りします。
伝わらないのは、経験が足りないからじゃない。
伝え方を知らなかっただけ。
「あなたの職務経歴書、“伝える言葉”になっていますか?」
もし「書いてみよう」と思ったら──
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