銀行員は“潰しがきかない”?──M&A・CFO・PEファンドなど、高スキル転職のリアル
前回の記事では、頭取や役員クラスの「その後」に触れましたが、 実際に多くの方が気になっているのは──もっとリアルな自分たちのレンジ、つまり行員クラスの“これから”ではないでしょうか。
本記事では、30〜40代を中心とした銀行員の転職動向にフォーカスし、 実例とともにキャリアの可能性を掘り下げていきます。
一昔前まで、「銀行員は他業界で通用しない」と言われていました。 しかし今、その常識が静かに崩れ始めています。
とくに30代〜40代の“行員クラス”の転職市場において、 銀行で培ったスキルが評価されるケースが増えてきているのです。

🔹 高スキル領域へのキャリアシフトが加速中
最近の転職市場では、以下のような高付加価値領域へのシフトが目立ちます。
✅ M&Aアドバイザリー(FAS・投資銀行)
財務モデリングや企業評価スキルを武器に即戦力で活躍
📌 出典:山藤パートナーズ|大手銀行→M&Aファーム転職事例
✅ 戦略系コンサルティングファーム(マッキンゼー、BCGなど)
論理構築力・仮説検証力を活かし、業界未経験でも抜擢例あり
📌 出典:コトラ|メガバンクから戦略コンサルへ
✅ 上場企業の財務部門/CFO候補
管理会計やIRを学び、事業側へとキャリアチェンジ
📌 出典:Correc|銀行からベンチャーCFOへ
✅ PEファンド(プライベート・エクイティ)
ソーシングからEXITまでを担い、報酬もトップクラス
📌 出典:山藤パートナーズ|PEファンド転職事例
🔍 銀行スキルは「使えない」どころか「引っ張りだこ」
とくに注目されているのが、M&A領域やスタートアップ支援分野。 理由は明快で、銀行で培ったスキルがダイレクトに活かせるからです。
📝 転職事例ピックアップ(実話ベース)
📌 メガバンク出身者がデロイト トーマツ コンサルティングに転職
年収:1,250万円 → 1,700万円へアップ
出典:山藤パートナーズ 実例インタビュー
📌 法人営業経験を活かし、中堅M&Aファームへ転職
→ 1年目から案件主担当として急成長中
[出典:同上]
📌 地銀出身者が事業会社の財務部長へ
→ CFO候補として経営会議にも参加
出典:Correc|銀行からCFOへ
📌 証券会社のリテール営業からPEファンドへ転職
年収800万 → ベース600万+EXITボーナスへ転換
出典:山藤パートナーズ|PE転職事例
🧭 銀行で頑張ってきたあなたへ
「通用しないかもしれない」──そう感じていたスキルが、 今、いろんな場所でちゃんと評価され始めています。
転職市場が見ているのは、“肩書き”ではなく“中身”。
あなたが積み重ねてきた日々は、これからの道を照らす光になります。
まだ見ぬ場所で、きっとあなたの力が待たれています。
🔹 出向・転籍で“選ばれる人”になるには?
キャリアを銀行内にとどめるのか、それとも外へ出るのか── いずれにしても、“信頼される人材”として名前が挙がるかどうかが、すべての分岐点になります。
出向先の選定において重視されるのは、能力以上に「信頼」や「人となり」。 たとえば、次のような行員が選ばれやすいと言われています:
- 社外対応が丁寧で、社内評価が高い
- 顧客との関係構築が上手で、トラブルが少ない
- 本部の上席と円滑な関係がある
逆に言えば、信頼を築いていないと「どこにも引き取り手がない」状態にもなり得るのです。
さらに、うまくやっている人ほど「事前に仕込んでいる」ことが多いのも事実です。
- 若手の頃に担当した中堅企業の社長と、今も情報交換を続けている
- グループ会社の役員と良好な関係を維持している
- 行内外の勉強会で築いたつながりが社外にある
こうした地道な関係性の積み上げが、いざというときの“次の居場所”につながります。
自分の居場所は、自分でつくれる。
銀行で積み上げてきた信頼こそが、未来の選択肢になります。
🔎 出向先で「苦しむ人」と「活躍する人」の分岐点
出向先でうまくいく人は、「指示待ち」ではなく、「自ら動く姿勢」を持っています。
- 与えられた役割をこなすのではなく、周囲の課題を見つけて解決する力
- 行内の常識にとらわれず、新しい環境に柔軟に適応する力
- 自分の名前ではなく、“成果”で信頼を勝ち取る意識
一方で、出向を“左遷”や“我慢の場”と捉えてしまうと、 そのマインドが行動に現れ、評価に結びつかなくなってしまいます。
「戻る前提」の人ほど、そこで“何者にもなれない”リスクを抱えてしまう── これは、現場でよく見かける現実です。
だからこそ、いまの姿勢と行動が、未来の“あなた自身の立ち位置”を決めていくのです。
どんな環境でも価値を出せる人に、あなたもきっとなれる──そう、信じています。
あなたは、今の環境で“自分らしさ”を出せていますか? キャリアの選択肢は、もうあなたの手の中にあります。