銀キャリブログは、2025年4月8日から本公開の予定です。
こちらは、公開前にこっそり綴る第1編。
就活は“始めてから”では遅い。
そう教えてくれたのは、週末のゴルフ場で出会った、一人の大学生でした。
第1章|「社長を面接してました」——ゴルフ場で出会った、恐るべき就活生
「就活に勝つ人は、10年前から準備している」
ーーそんな大学生に出会って、私は自分の“仕事観”を再定義した。
彼は、有名国立大学の3回生。
聞くと、土日も休まず、ゴルフ場でキャディのアルバイトをしているというのです。
気になって、ふと聞いてみました。
「就活、大丈夫なの?」
彼は、驚くほど落ち着いた表情で答えました。
「3年間ずっとやってきたので、今はどこに行こうか選んでいるところです」
最初は意味がわかりませんでした。でも、話を聞いて鳥肌が立ちました。
実は彼、この“キャディのバイトのため?”に、小学生の頃からゴルフを始めたそうです。
高校では学業を優先し、部活はほどほどに。
目的は、大会で勝つよりも、“人に教える技術”を磨くこと。
それでも、ハンディはシングル。
簡単なコースではアンダースコアも出ることがあるそうです。
すべては、大学生になったときに、
「本当の就活を始めるため」の準備でした。
彼は3年間、キャディとして100人以上もの社長たちとラウンドを共にしてきました。
その中で、会社の空気、社長の人柄、言葉の選び方、目線の向け方――
細部まで観察し、感じ取り、分析してきたのだと言います。
怖すぎる…
つまり彼は、「社長たちを面接していた」のです。
しかも、平日はその社長たちに誘われて、高級コースでラウンド。
プレー代はもちろん無料。
プライベートレッスンまで引き受け、キャディよりも稼げているとのこと。
ゴルフができたらラウンドに誘われる。コーチができたら教えられる。あとは、計算された話題で盛り上がるだけ。
失敗してもノーダメージ。どうせゴルフ場には毎週新しい社長がやってくる。次に活かせばいい。
「こいつを採用したい!」と思わせる作戦は、10年前から準備されていました。
そう、全てがシナリオ通りだったのです。
彼はいったいどんな教育を受けたのだろうか…
私は社長に会いたくて銀行に入った。
社長と会い、話を聞いて自分が興奮したかっただけです。
もっともっと“教えて貰おう”としていました。
彼は、10年かけて売り込み準備。あとは、オファーを待って「選ぶ」だけ。
私も高校生の時からゴルフを始めましたが、全くそんな気持ちになれませんでした。
きっと彼は面接の練習は、十分すぎる程経験したことでしょう。
面接官: 学生時代何を経験しましたか?
彼 : 100人以上の社長観察…
時間軸だけじゃない、全てに完敗、乾杯?
……でも、心の底から、かっこいいと思いました。

第2章|体が動くから雇われている——父が教えてくれた、仕事の原則
「企業が能力もない学生を雇うのは、体力があって体を動かせるから。
もし決まったスキルが必要だったら、お前を選ばない」
高校生の私は、その言葉がただ腹立たしく響き、悔しかった。でも言い返せませんでした。
心のどこかで「たしかに何もできない」と思っていたからです。
そして大学卒業までの4年間、私は様々なアルバイトを経験しました。
ファーストフード店に始まり、ガソリンスタンドや引っ越しの作業員、税務署の手伝いに、プールの監視員。
イベントで着ぐるみに入って、戦隊モノの闘いまで。
その中で、唯一父が褒めてくれたのは、市場の夜勤。輸入品の入荷から早朝の競り完了まで、全てに関わる仕事でした。
正直、時給はいいが、眠いし、寒いし、きつい。でも、そこには“リアルな現場の戦い”がありました。
輸入通関にパッキングリスト、大学生の私にはチンプンカンプン。でも、おっちゃん連中が怖いから必死に伝票チェックをしました。
「給料ってのは、学びの対価じゃない。
会社に儲けさせて、はじめてもらえるもんだ。
頑張るのは、あたりまえだ」
就職して社会に出ると、父の言葉の意味がじわじわと現実になっていきました。
そして今、銀行を離れた私に、あの言葉が改めて突き刺さります。
「得意分野を最低2つ育てろ。3つがベスト。間違いなくライバルは減る👍」
上には上がいる。そこで戦わなくていいんです。
同じ大学生でこうも差が出るんですね…
彼はゴルフが上手で、丁寧に人に教える事ができる国立大学生。
まったく勝ち目がありませんでした😭
でも、不思議と悔しさよりも、誇らしさの方が強かった。
あの頃の父の声が、今の私の背中を押してくれている気がしています。
第3章|できるから進む——銀キャリの原点
キャディの彼も、父も、言っていたことは同じでした。
「できるから、次に進める」
任されてから頑張るのでは遅い。
チャンスが来てから準備するのでは、間に合わない。
銀行で働いていた頃、尊敬していた先輩がこう言いました。
「2階級上の仕事を学ぶと、お前の上司が何を必要としているかが分かる。
それでやっと、お前は一つ前に進むんだ」
「お前が上司になったとき、すべての部下に思想を伝える事は出来ない。
お前の思想を広げてくれる、そんな部下を育てることがお前の仕事なんだ」
私はそこで気づきました。
“仕事って、未来の部下のためにもある”のだと。
そして今、自分が指導する立場となり、より深くそれを感じます。
「お前が選ばれる理由をつくれ」
──ちょっとは近付けたのでしょうか?
“銀キャリ”は、ただの転職術でも、キャリア論でもありません。
自分の中にある原石を、日々の現場で少しずつ磨き、
やがて「この人と働きたい」と言わせる光に変えていくことです。
特別なことなんて必要ありません。
市場でも、キャディでも、着ぐるみでもいい。
「できる」をひとつずつ重ねていけばいいのです。
「できるから進む」
その積み重ねが、“あなたの可能性を”を広げます。
私は今、ようやくスタートラインに立てた気がしています。
そう思えるのは、父のおかげであり、あのキャディの彼、
そして、あのときの先輩のおかげです。
あなたはもう、誰かに“選ばれる準備”ができましたか?
それとも、すでに“選ぶ側”でしょうか?
「できるから進む」
それが、あなたを“選ばれる人”に変えていく。

