「55歳役職定年」——
銀行員なら誰もが避けて通れない、その節目がいま、大きく変わろうとしています。
かつては、55歳を迎えると役職を降り、関連会社やグループ企業へ出向するのが“当たり前”のルートでした。
しかし2025年、65歳までの雇用延長が本格化するなかで、その常識が静かに崩れ始めています。
✔ 役職定年後も、銀行に残って働ける?
✔ 出向しないという選択肢もある?
✔ 55歳からのキャリアは、自分で描く時代に?
もう「出向一択」ではなくなった——。
これからは「55歳以降、どう働くか?」が、“選ばれた人”だけでなく、すべての銀行員にとってのリアルなテーマです。
本記事では、銀行業界で進む制度の見直しや、主要行の最新動向をふまえながら、
55歳を「終わり」ではなく「分岐点」に変えるキャリア戦略について、具体的に掘り下げていきます。
この変化にどう向き合うかが、あなたの“次の10年”を左右します。
◆ 2024年、銀行業界の「55歳役職定年」が変わり始めた
これまで、多くの銀行が55歳で役職を外すため、事前に関連会社やグループ企業へ出向させるのが通例でした。
しかし、2024年4月から65歳までの雇用延長が義務化され、銀行側の戦略にも変化が生まれています。
✅ 主要銀行の「役職定年見直し」への動き
📌 山口フィナンシャルグループ
→ 2024年から55歳役職定年の廃止を段階的に実施。
📌 三菱UFJ銀行
→ 「FA宣言制度」を導入し、実力のある行員を囲い込み。
→ 転職せず、銀行の中でキャリアを築き続ける選択肢を拡充。
📌 みずほ・三井住友・地方銀行各社
→ 出向・転籍以外に「銀行内での継続雇用」を模索中。
今までは、55歳で「役職を降りる=出向」という流れが主流でしたが、
最近は「プロパー(銀行本体)に残る」という選択肢も現実的になってきました。
◆ 55歳役職定年はなくなる?それとも形を変える?
「55歳役職定年が見直される」と聞いて、
「ついに制度がなくなるのか?」と期待する声もあります。
しかし、現時点での結論は――
🚨 「55歳で役職を降りる」ルール自体は残るが、働き方や役割が多様化してきている 🚨
つまり、“制度が終わる”というより、“制度の意味が変わりつつある”のです。
✅ 銀行側の本音と、現場のリアル
銀行としては、次のような意図を持っています:
- ✅ 若手にポストを譲ることで、新陳代謝を促したい
- ✅ でも優秀なベテランが外に流出するのは避けたい
- ✅ だから「役職を外しても銀行に残る道」を整え始めている
結果として生まれたのが、「専門職として銀行に残る」という新しい選択肢です。
💼 「専門職残留」は理想?それとも妥協?
最近では、支店支援担当、営業推進、人材育成、コンプラ対応など、
役職を外れたあとも、プロパーとして銀行に残るケースが増えています。
ただしここには、現場目線で見逃せないポイントも。
- 「処遇は据え置きか、それとも減るのか?」
- 「肩書がなくなって、影響力はどうなるのか?」
- 「ベテランが残ることで、若手の昇進に影響は?」
制度として“残れる道”は広がりましたが、
それが本当に**「残りたい道」なのか**は、人によって分かれるのが実情です。
✨ 変わったのは、「55歳=引退」ではなくなったこと
かつては、「55歳役職定年」と聞くと「もう出番は終わり」と受け止められていました。
しかし今は、「じゃあ、この先どう働く?」を考える分岐点へと変わりつつあります。
しかもその選択肢は、出向・転職・独立だけではなく、
**“銀行の中に残りながら、キャリアを再設計する”**という道も含まれているのです。
◆ 55歳のキャリアはどう変わる?「3つの選択肢」
では、「役職定年後、銀行員はどんな選択をするのか?」
現在、55歳を迎えた銀行員には大きく分けて3つの選択肢があります。
① 銀行に残る(プロパーとして継続)
② 出向・転籍(グループ企業・提携先へ)
③ 転職・独立(銀行の外へ)
これまでは「② 出向・転籍」がほぼ一択でしたが、
最近では「① 銀行に残る」「③ 転職・独立」も現実的な選択肢になってきています。
この変化の背景には、**「65歳までの雇用延長」**という大きな制度改正があります。
◆ 65歳までの雇用延長で何が変わる?
2024年4月、改正高年齢者雇用安定法の施行により、
企業には“65歳までの継続雇用の確保”が義務付けられました。
銀行業界も例外ではなく、この流れは現場の働き方に確実な変化をもたらし始めています。
かつては、55歳で役職を降りたあとは、関連会社へ出向し、
“穏やかに出口へ向かう”のが当たり前のルートでした。
しかし今は違います。
🔄 「10年」という“第二の現役期間”が、すべての行員に与えられる時代がやってきたのです。
✅ 雇用延長は「安心」か、それとも「再挑戦」か?
65歳までの継続雇用が前提となった今、銀行員のキャリア観にも大きな揺らぎが生まれています。
🔹 できる限り長く働きたい
🔹 出向ではなく、本体で貢献し続けたい
🔹 役職は外れても、専門性で勝負したい
そうした前向きな声がある一方で、
🔸 60歳以降の処遇はどうなるのか
🔸 周囲に気を遣わせる存在にならないか
🔸 若手のチャンスを奪ってしまっていないか
という複雑な葛藤を抱える声もまた、現実として存在しています。
✅ 安心と挑戦が背中合わせ。それが“65歳現役時代”のリアルです。
✅ 「残る」ことも選択肢、「出る」こともまた勇気
雇用延長制度が整った今だからこそ、
あえて“自分から動く”人たちの姿も目立ち始めています。
たとえば…
📌 退職優遇制度(早期退職)を活用し、外部で新たなキャリアを築く人
📌 銀行に残りながら資格取得に励み、独立に備える人
📌 地域密着型の活動にシフトし、やりたいことに時間を注ぐ人
制度があるからこそ、「残る」も「出る」も、“準備してきた人”にとってはチャンスとなる。
とはいえ、それでも一歩を踏み出すのは簡単ではありません。
▶︎ 家族の理解
▶︎ 収入や社会的信用の維持
▶︎ そして何より、「慣れ親しんだ居場所から離れる不安」
それらすべてと向き合いながら、進む覚悟が必要になります。
✨ 問われているのは、「残れるか」ではなく、「どう残るか」
いまや、65歳まで働けるかどうかではなく、
「その時間をどう使うか」「どう価値を発揮するか」 が、すべての銀行員に問われています。
そしてその答えは、制度でも会社でもありません。
あなた自身の“キャリア観”にしか、見つけることはできないのです。